相続ブログ

2022年03年02日

相続登記の義務化

相続登記の義務化はいつから? 

 令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されます。この義務化に対しては、正当な理由がないのに申請を怠ると10万円以下過料に処せられます。ここで、過料という言葉が登場しましたが、これはどういった制裁なのでしょうか。 

過料とは? 

 過料とは、法令に違反した場合に科せられる行政上の秩序罰のことをいい、刑事罰ではありません。交通違反の反則金と同じ罰則です。違反したからといって前科にならないということです。ただ前科にならないとはいえ、過料に処せられないように行動しなければならないのは言うまでもありませんが、正当な理由がある場合は免責されます。では、どのような場合が正当な理由として認められるのでしょうか。 

正当な理由の例 

① 相続人が極めて多数で、手続きに必要な書類の収集などに多くの時間を要する場合 

➁ 遺言の有効性などに争いがある場合 

③ 相続人に重病などの事情がある場合 

 これらの場合は正当な理由ありとなり、過料の適用対象外とされます。

義務化前に発生した相続はどうなる? 

 令和6年4月1日より前に発生した相続については、経過措置が設けられています。相続による所有権取得を知った日と令和6年4月1日のいずれか遅い日が起算点となり、そこから3年の間に相続登記を申請しなければならないとされます。 

 つまり、義務化前に発生した相続であっても令和6年4月1日以降は相続登記義務化の対象となります。 

相続登記申請義務の内容 

 ここからはどうすれば義務を果たしたとされるかについてのお話になりますが、相続といっても様々なパターンがあり、その類型別に義務の内容が異なります。 

① 相続人が1人の場合・遺言書があった場合 

 これらの場合は何も悩む必要はありません。自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記を申請するだけです。 

② 相続人が複数で遺産分割が3年以内に成立した場合 

 ほとんどの場合はこのパターンとなります。この場合、義務の内容が2つあります。すなわち、相続により不動産を取得したことを具体的に認識後3年以内に登記申請する義務と遺産分割成立から3年以内に登記申請する義務の2つです。どちらの義務が起算日になるかというと、通常は認識後3年以内となります。遺産分割後3年以内と考えていると期間を過ぎてしまうこともありますので注意が必要です。これらを踏まえた結論ですが、認識後3年以内に登記申請をすれば問題ありませんので遺産分割は先延ばしにしないようにする必要があります。 

③ 相続人が複数で遺産分割が3年以内に成立しない場合 

 争いがあるようなケースです。この場合は相続人申告登記を相続により不動産を取得したことを具体的に認識後3年以内にしておく必要があります。相続登記の申請が期間内することが難しい場合に、申出をすると登記官が職権で登記をします。相続登記の申請ができない状況であったとしても申出だけはしなければならないのです。そして、その後遺産分割が成立したらそこから3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。 

登録免許税 

 義務化だけでなく税の面から相続登記を促進する改正がなされようとしています。令和4年度税制改正大綱では、免税措置の適用期限が令和7年3月末まで延長され、適用対象に市街化区域内の土地が加わり、対象土地の上限価格を100万円に引上げされています。適用されるのは対象となる土地の相続だけですが、免税対象が拡充されるのは歓迎すべきでしょう。 

よくある相談事例

 これまで義務化でなかったため、登録免許税の節約が目的で登記名義人の父が亡くなった後、すぐに名義変更を変更せず、最近母も亡くなったことから、いよいよ不動産を処分したいので名義変更をしたいというご相談が増えています。この場合で悩ましいのは、空き家を売ったときの特例が適用されるかという問題があります。また数次相続も発生していることから検討事項も増えます。誰が名義を取得するかということは決まっていて単純そうに見えても、手続き上はそうではないこともあり得ます。手続きを進めるうえで少しでも気になることがございましたらお気軽に専門家にご相談ください。初回無料にてご相談いただけます。 いなべ市、桑名市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市の相続登記、預貯金や株式などの遺産整理業務、遺言、相続放棄のご相談は四日市相続センターにおまかせください。

司法書士・行政書士 森田直宏

空き家を売ったときの特例

数次相続

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