相続登記が必要
売買は売主と買主の意思の合致によって成立します。しかしながら通常の不動産における売買契約では代金支払ったときに所有権を移転する特約が付されています。そのため、登記名義人が売買契約を締結した後に亡くなった場合、代金の支払いがなされていなければ未だ所有権は移転していないことになります。そうすると、その不動産は登記名義人の遺産であり、相続の対象となります。したがって、売買による所有権移転前に相続登記をしなければならないことになるのです。また、相続登記未了の不動産であれば現在の所有者への名義変更が必要なのは言うまでもありません。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
建物がある状態で売ったとして特例が受けられることはないと言われるほどですから、解体して売却したときに検討される特例です。このときの特例の適用を受けるための要件が以下になります。
・ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・ 区分所有建物登記がされている建物でないこと
・ 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
・ 相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること
・ 相続の時から取壊し等の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
・ 相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていたことがないこと
・ 取壊し等の時から譲渡の時まで建物または構築物の敷地の用に供されていたことがないこと
・ 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・ 売却代金が1億円以下であること
・ 売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
・ 同一の被相続人から相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等について、この特例の適用を受けていないこと
・ 親子や夫婦など特別の関係がある人(生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人など)に対して売ったものでないこと
これらの要件を満たし、平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に売ると譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます。
空き家特例が必要になる場面
相続で取得した不動産は取得費がわからないことが多いです。このような取得不明の場合は売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。2,000万円で取得したものを1,000万円で売るとすると、本来は利益が出ていないので譲渡所得税は課されないはずですが、取得費が不明だと950万円が譲渡所得となってしまい、課税の対象となってしまします。
①5年前に父が亡くなり、登記名義は父のまま、②1年前に母も他界した、という事例を考えてみましょう。父から子へ相続には5年前になくなっていることから特例は適用されません。しかし、母は1年前ですので、母の相続には特例が適用されます。①の時点で母が不動産を相続するという遺産分割が成立していれば取得費がわからなくても子は特例の適用を受けることができますが、⓵相続時に遺産分割がなされないまま②の相続が開始した場合は母の相続の分しか特例の適用を受けることができません。つまり、上の例では950万円の半分の475万円が課税の対象となってしまいます。
①相続時に遺産分割が成立していれば全額控除となるわけです。遺産分割が成立していれば…一人遺産分割は禁止されていますからあとから遺産分割をすることはできません。ただ、遺産分割協議書がないだけで口頭であっても遺産分割が成立していればいいわけですから、子だけの遺産分割証明書を作成して亡き母名義の相続登記を申請後、母の相続で子名義の相続登記を申請することはできます。とまあ、遺産分割が成立していたのであれば取得費が不明でも特例の適用は受けることができるかもしれません。
専門家に相談が必要
売却した結果どうなるのか気になる方は一度専門家に相談してみるといいでしょう。税理が必要な場合はご紹介させていただきます。また、買取専門の不動産業者に売って素早く売却したい場合もご紹介させていただきます。いずれにしても、前提として不動産の名義変更は必要になりますので、相続登記が義務化される前に手続きを済ませておくといいでしょう。
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