相続ブログ

2022年03年30日

遺言か家族信託か

後妻亡きあとに子に遺産を承継させたい

 Aさんの希望として、自分の死後、後妻が亡くなるまでは自宅を後妻に使用させ、後妻が亡くなった後は、Aの子に不動産を承継させたいと考えています。このような場合、遺言では、不動産を後妻に承継させた後、後妻の相続で承継させた不動産をAの子に承継させることはできません。そもそもAの子は後妻の相続人ではないですし、後妻の財産となったものをどう承継させるかを決めるのはAではなく後妻だからです。だったら後妻にも遺言を書いてもらえばいいのではと思う方もいるでしょうが、Aの死後に遺言を撤回される可能性がある以上、確実に子に遺産を承継できる保証はなく、遺言はその手段としては妥当ではないとなります。もしその不動産がA家で代々受け継がれてきたものであれば、後妻の死後に後妻の親族に財産が承継されてしまうことに複雑な思いを抱いてしまうことは想像に難くないでしょう。また子に後妻の面倒を見させるという負担付きで相続させることも同様に確実性がなく、手段として妥当ではありません。これは最終的な遺産の承継先を決めておきたいが、遺言だけでは対応できないということに端を発する問題なのです。

家族信託の活用

 この問題は信託を活用することで解決ができます。これまで多かった相談では、信託を活用するという発想がなかったために、Aの死後、後妻と子で喧々諤々しながら、後妻が自宅不動産を取得する代わりに、代償金を支払うことで遺産分割が成立したが、Aの生前に何か対策を講じておいてほしかったというものでした。残念ながら亡くなった後では対策することはできないのです。

 法制度として、事前に対策ができるものが与えられているわけですから、それを活用しない手はないでしょう。さて、その内容ですが、簡単に言うと、Aの死後、後妻の生活のため後妻が亡くなるまで自宅不動産を使用させ、後妻の死亡により信託を終了させ、最終的に子に承継させるというものです。細かいことはさておき、信託であれば実現可能です。むろん、Aが亡くなったときと後妻が亡くなったときの課税の問題など専門家を交えて検討を要することも多々あります。ただ、そのようなことを考慮しても信託を真剣に検討すべき事例になります。

 信託としてもいくつか取れるパターンが考えられますし、活用すべきとしてもそもそも信託に馴染みがないと不安な気持ちが先行してしまうかもしれませんので、そんなときは専門家にご相談ください。初回無料相談にてお受けすることが可能です。いなべ市、桑名市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市の相続登記、預貯金や株式などの遺産整理業務、遺言、相続放棄、成年後見、家族信託のご相談は四日市相続センターにおまかせください。

司法書士・行政書士 森田直宏

前妻の子や後妻が相続人となる手続き

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