撤回は簡単にできる
遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができ、前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます。そのため、聞かされていた遺言の内容がいつの間にか変わっていたということも起こります。遺言書作成後に、親子喧嘩に発展し、遺言者が故意に遺言書を破り捨てるなど破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされることになります。
撤回をなかったことにできるか
撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、その効力を回復しません。つまり、撤回すると前の遺言の効力が復活しないことになります。ただし、撤回が錯誤、詐欺又は強迫による場合は、前の遺言の効力が復活します。
公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回することはできるか
遺言の方式によって遺言書の優劣が決まるわけではありません。原則通り後でされた遺言の効力が優先します。このことは先の遺言が公正証書によるもので、後の遺言が自筆証書によるものであっても変わりません。
遺言が全部撤回されるとは限らない
前の遺言と後の遺言とで抵触する部分についてのみ、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされるため、後の遺言さえあればいいと思って破棄しない方がいい場合もあります。撤回も遺言の方式に従ったものでなければその効力を生じませんから、少しだけの変更だからといってなんでも許されるわけではないことに注意が必要です。遺言書の変更や撤回などの作成前に気になることは些細なことでもお問い合わせください。
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