相続ブログ

収益物件の相続と賃料

相続開始後の賃料

遺産分割が成立するとその効果は相続開始時に遡ります。では遺産分割が成立すれば相続発生後から遺産分割成立までに生じた賃料債権も、遺産分割によって取得することとなった相続人のものとなるのでしょうか。結論から言うとそうはならず、各相続人のものとなります。言い換えると、相続開始後に発生した賃料は遺産分割の対象ではないことになります。ただ合意によって1人の相続人に取得させることは可能であると考えます。

遺言がある場合

上記は遺言がない場合の話です。遺言がある場合は相続開始時に取得する者が決まっているわけですから悩む必要はなく、遺言によって指定された相続人のものとなります。では次に気になってくるのが遺言の内容が他の相続人の遺留分を侵害するものであった場合、賃料は遺留分額侵害請求の対象となるのかということです。

結論から言うと、現行法では対象になりません。ただし、改正前である令和1年7月1日より前に被相続人が亡くなり、相続人がその事実を知らない場合などの場合は遺留分減殺請求として賃料を請求できます。その場合の遺留分権利者が得られる賃料は遺留分減殺請求を行った日からのものとなります。

賃料請求

遺産分割によって、または遺言によってアパートなどの収益物件を相続した場合の賃料の帰属がわかったとして、相続人から賃料を請求することはできるのでしょうか。この点に関しては、相続登記をしなければ賃借人に賃貸人の地位の移転を対抗することはできません。したがって、所有権移転の登記(相続登記)をする必要があります。

収益物件の相続における不動産の所有権以外に賃料の問題についてまとめました。賃料についての考え方は預金などの利息についても参考にすることができます。遺産分割や遺言などの相続に関する疑問やお悩みは些細なことでもご相談ください。いなべ市、桑名市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市の相続登記、預貯金や株式などの遺産整理業務、遺言、相続放棄、成年後見、家族信託のご質問やご相談は土日祝日でも承ります。

司法書士・行政書士 森田直宏

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