相続ブログ

2022年09年28日

自筆証書遺言による相続手続き

民法上の要件は満たしていても手続きできない場合がある

「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」と民法上規定されています。今回相続手続きした遺言書は、メモ帳の紙に書かれており、封がされておらず、形式上の要件は満たしているものの、住所や遺産を承継させる者の続柄が記載されていないというものでした。同姓同名の者が存在する可能性がある以上、遺言執行の手続きができない可能性がありました。今回の被相続人と受遺者の関係は兄弟姉妹の関係で、受遺者は法定相続人の一人でした。

自筆証書遺言の場合は検認が必要

検認を経ないで遺言を執行すると五万円以下の過料に処せられます。ただ今回の手続きでは遺言書が手続き上問題ないものか関係各所に確認する必要があったことから、検認前に各所に照会することにしました。

結果

銀行、法務局ともに手続きできると回答が得られましたので、検認後すべての遺産承継手続きをすることができました。しかしながらこの結果が得られたからといって、同様の遺言でいつも同じ結論になるとは言えません。あくまで今回の事例ではそうなったというだけです。懸念していたことは法務局からも指摘されましたし、たまたま法定相続人の一人に全て承継させるという内容であったからでしょう。銀行も今回手続き対象になっていないところではどうなるかわかりません。手続きがすべて問題なくできたからよかったものの、たった一つの手続きができないとなった時点で、争いになる可能性のある手続きを進めるわけにはいきませんので法定相続人間で遺産分割が必要とご案内せざるを得ません。

あらためて遺言書を作成する際は、くれぐれも無効とならないよう用心する必要があると感じました。公正証書による遺言をお奨めはしておりますが、自筆で残したいという方もいると思います。どのような文章にすればよいか判断ができないなどのご質問ご相談ががございましたらお気軽にお問合せください。いなべ市、桑名市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市の相続登記、預貯金や株式などの遺産整理業務、遺言、相続放棄、成年後見、家族信託のご相談は四日市相続センターにおまかせください。

司法書士・行政書士 森田直宏

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