相続ブログ

2022年06年11日

遺産分割をやり直す

遺産分割をやり直すことは可能か

 原則としてできない。

できる場合

 ・相続人全員の合意がある場合

 ・無効、取消し原因がある場合

 ・新たな財産が見つかった場合

相談事例

 父親の相続で遺産分割が成立しており、遺産分割協議書が作成されていました。今回相談者は母親とともに相続した不動産を売却したいと考えています。母親は最近亡くなっており、その相続手続で相談にお越しいただきました。

 相談者の希望は母親の持分をすべて相続し売却することです。相続人間で話し合いはしており、遺産分割協議書を作成してほしいとのことで、作成して署名押印を待っておりました。なかなか遺産分割協議書が届けられないので話を伺うと、父親の遺産分割に不満がある他の相続人は相談者が父親から相続した畑を贈与することを条件に遺産分割に応じると主張しており、相談者は贈与については応じるつもりでした。ただ、その畑は市街化調整区域のため、贈与には農地法上の許可が必要で、農業従事者でない者は許可が得られず譲り受けることはできません。そうすると、相続人は農業従事者ではないため遺産分割が成立することは事実上不可能です。また争いになっている場合は司法書士・行政書士は手続きができませんので、遺産分割調停を勧めました。

 もう一つの選択肢としては父親の遺産分割をやり直すことです。贈与ではなく相続で農地を取得する場合は農地法上の許可が不要なため、他の相続人の主張通りの遺産承継を実現することができます。ただ、税法上は遺産分割をやり直したとしても相続ではなく贈与として扱われるようです。そのため、贈与税には注意が必要ですが、相続人が実現した結果は得られます。

 そうはいっても相続人全員の合意がなければなりません。相続人のみでの話し合いができればいいのですが、実際には難しいでしょう。売却がしたい相談者は不動産業者から期限を設けられて焦っている状況でしたし、他の相続人は感情的になっている様子がありました。このような状況で合意した内容が後々また蒸し返されることも十分予想されるため、遺産分割調停がいいのではないかと最終的にお伝えしました。

裁判所提出書類

 遺産分割調停の管轄は、相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。仮に調停が不成立でも、引き続き審判手続で必要な審理が行われた上、審判によって結論が示されることになるため解決は図られます。そして遺産分割調停の申立書を司法書士は作成することができます。お悩み事がございましたら一度専門家にご相談ください。初回無料相談にてお受けすることが可能です。いなべ市、桑名市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市の相続登記、預貯金や株式などの遺産整理業務、遺言、相続放棄、成年後見、家族信託のご相談は四日市相続センターにおまかせください。

司法書士・行政書士 森田直宏

最終的にどうなったか

 なんと話し合いで遺産分割がまとまりました。これには私も驚きました。強弁されていた相続人もご納得の様子でした。遺産分割協議書の作成、すでにされている相続による所有権移転の抹消と相続登記を申請して完了となります。円満解決でよかったです。

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