相続人がいなくなると
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならなくなります。つまり、相続放棄はしたけど管理はし続けないといけないということです。問題となりやすいのは不要な山林や農地を相続放棄した場合でしょう。せっかく相続放棄ができたと思っても管理責任は残ったままということはあり得るのです。
管理責任の内容
他人の財産を管理する場合の責任である善管注意義務よりは軽い責任ではあります。ただ、管理に関し著しい不注意があった場合は責任を負うことになります。例えば、敷地の木が今にも倒れそうな場合や建物が倒壊するのが誰の目から見ても明らかな場合に何もせずに放置したところ、隣地に止めてあった車に被害が及んだときには管理責任を問われるでしょう。また、ほかの相続人が管理を始めることができる状態になるまで他の相続人に対し事務処理状況を報告したり受取物の引渡し義務を負い、保存処分が家庭裁判所から命じられた場合に従わなければならない義務を負います。
管理責任を負い続けたくなければ
他の相続人が相続財産の管理を始めることができるまでは管理責任を負うということは、相続人がいなくなると管理責任を免れることができないようにも思えます。そこでこのような場合に備えて、相続財産管理人を選任することができるとされています。注意が必要なのはこの相続財産管理人選任申立てには、相続財産管理人が相続財産管理人の報酬を含む相続財産を管理するために必要な費用に不足が出る可能性がある場合には10~100万円の予納金がかかるといわれています。
相続財産管理人
相続放棄をしたとしても管理責任を免れない場合はありますが、そのような場合は相続財産管理人を選任すればその責任から解放されます。ただ、予納金の問題がありますから、隣地や通行人に被害が及びそうな切迫した状況では迷わず相続財産管理人を選任すべきでしょう。その選任申立て書類の作成代行は司法書士がすることができます。
なお令和5年4月1日に施行される改正民法では、相続放棄時に相続財産に属する財産を現に占有していなければ、自己の財産におけるのと同一の注意義務をもってその財産を保存しなくてもいいこととなります。
最後に
放棄したからあとは関係ないが通用しない場合もあります。相続放棄にまつわる諸問題でお悩みであればお気軽にご相談ください。いなべ市、桑名市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市の相続登記、預貯金や株式などの遺産整理業務、遺言、相続放棄のご相談は四日市相続センターにおまかせください。