相続ブログ

所有不動産記録証明制度

令和6年(2024年)4月から不動産の相続登記が義務化され、不動産を相続した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を完了することが求められています。このような相続登記の手続きの負担を軽減し、登記漏れを防ぐために、所有不動産記録証明制度が導入されます。

この制度は、令和8年(2026年)2月2日から開始される新しい制度です。

これまで、登記簿は土地や建物ごとに作成されており、特定の人が所有する全国の不動産を網羅的に把握する仕組みは存在しませんでした。

所有不動産記録証明制度が始まると、法務局の登記官が、特定の人が所有する全国の不動産を一覧的にリスト化し、証明することが可能になります。

所有不動産記録証明制度は、特に相続発生時において非常に有用です。例えば、亡くなった親(被相続人)から不動産を相続した子(相続人)が、登記記録(登記簿)上で親が所有者となっている不動産を一覧的にリスト化した証明書を簡単に入手できるようになります。

この制度は、相続登記が必要な不動産を容易に把握できるようにすることで、相続登記の手続きの負担軽減や登記漏れ防止を目的としています。

相続登記が適切に行われないことは、所有者不明土地問題の主要な原因の一つであり、この制度は、所有者不明土地の発生予防策としても重要です。

証明書を請求できるのは、以下の者に限られます。

1. 不動産の所有者(所有権の登記名義人)本人。

2. 不動産の所有権の登記名義人の相続人。

請求は、お近くの法務局で行うことができ、オンラインでの請求も可能です。手数料は、窓口請求の場合1通あたり1,600円です。

所有不動産記録証明書は、請求書に記載された検索条件の氏名・住所ごとに作成されます。

検索条件として指定した氏名・住所と、不動産の登記簿上の氏名・住所が一致していない不動産については、抽出されないため注意が必要です。そうすると不動産を複数の市区町村に所有している場合は便利で有用に見えますが、費用対効果の面からすると現在の名寄帳の取得で事足りるケースがほとんどかもしれません。また、保存期間の関係で住所証明の記録が廃棄されている過去の相続の場合も弱点となりそうです。将来的には非常に有用であることは間違いないでしょう。

気になっていることやお困りごとがございましたら、些細なことでもお気軽にお問い合わせください。

いなべ市、桑名市、東員町、菰野町、木曽岬町、朝日町、川越町、四日市市、鈴鹿市、亀山市、津市の相続登記、預貯金や株式などの遺産整理業務、遺言、相続放棄、成年後見、家族信託のご質問やご相談は土日祝日でも承ります。

司法書士・行政書士 森田直宏